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2023.06.29

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コイン解説&写真

ロマンある、アンティークコインの起源

みなさんごきげんよう、アンティークコイン投資家の葉山満です。

前回に引き続き、お金についてお話していきたいと思います。

前回の「やっぱり人間ってすごい!!お金の起源とは?」の記事でお金の起源についてはお判りいただけたと思います。
今回は『アンティークコインの起源』について触れていきたいと思います。

現在のお金

先ずは現在のお金を見てみると、金や銀といった貴金属が使われているわけではありません。原価を見ると、500円玉は64.5円、100円玉は15.3円程度と、硬貨が表す金額よりも低くなっていることからも分かるとおり、貴金属としての価値がお金の価値を保証しているわけではありません(1円玉のみ原価1.8円で原価の方が高い)。

ではなぜ500円玉に500円、100円玉に100円の価値があるのかというと、お金をいくら流通させるかコントロールしている国の信用が裏付けとなっているからです。国への信用が裏付けとなり、私たちが「500円玉は500円だ」と信用できるから、500円玉には500円の価値があるのです。

このように、現代では貴金属として価値がある硬貨はほとんど使われていませんが、代わりに信用が価値の裏付けとなる高度な制度に発展した、と言えるでしょう。

昔の硬貨、アンティークコインとは?

100年以上の歴史がある昔の硬貨のことを、一般的にアンティークコインと言います。アンティークコインの多くは金や銀でできている金属貨幣で、現代のコインとは一線を画しています。

貴金属としての価値に加え、歴史的な価値・美術的な価値も兼ね備えたのが、アンティークコインです。先ほどはお金の起源を学んだので、今度はアンティークコインの起源について学んでいきましょう。

アンティークコインの起源

世界最古の金貨は、紀元前670年頃にアナトリア半島の「リディア王国」(現在のトルコ西部)で作られたエレクトラム貨だとされています。口を大きく開けたライオンの横顔がデザインされており、古代らしい簡素さと力強さのある美しい金貨です。

「エレクトラム」は、ギリシャ語で琥珀を意味する「エレクトロン」から由来しています。金と銀との自然合金による柔らかい黄色が琥珀を連想させるため、「エレクトラム」と呼ばれるようになりました。

「コイン」と聞いてイメージするのは、500円玉や100円玉のような綺麗な円形で薄い形だと思いますが、エレクトラム貨は少々違います。歪んだ楕円形で厚みがあり、小石のような形の方が近いでしょう。

しかし、世界最古の金貨とされることからも想像できるとおり、非常に高値で取引されるアンティークコインでもあります。状態によっては数千万円の値段がつくこともあるのです。

アンティークコインの起源は、リディア王国のエレクトラム貨と言って良いでしょう。世界のコレクターたちが喉から手が出るほど欲しがる商品でもあります。

古代ギリシャのアンティークコイン

リディア王国で金貨が誕生すると、周辺の国々でもコインが作られるようになります。例えば、紀元前7世紀頃から紀元前1世紀頃までの古代ギリシャのコインです。

古代ギリシャのコインは多くが銀で作られた銀貨です。アテネに銀山があってギリシャでは銀が大量に産出されたので、銀がコインに使われました。

コインには、神々や動物がデザインされていることが多いです。「フクロウ銀貨」といって、フクロウの絵がデザインされたコインが特に有名です。

形の綺麗さやデザインの細かさも、リディア王国のエレクトラム貨と比べてかなり進化したことが言えます。細かい文字や髪の毛の筋など、ディテールまでこだわり抜かれたデザインに惚れたコレクターも多いのです。動物のデザインも独特の愛嬌があり、眺めているだけでも楽しいアンティークコインです。

アケメネス朝ペルシアのアンティークコイン

古代ギリシャと同時期のコインとして、アケメネス朝ペルシアの金貨も外せません。アケメネス朝ペルシアは、4つの王国に分かれていたオリエント世界(リディア王国も含まれる)を統一した帝国で、エーゲ海、エジプトからインダス川までを領土とする広大な帝国に発展しました。

アケメネス朝ペルシアのコインは金貨が多く、これは領土であった現在のトルコ、イスラエル、エジプトから金が大量に産出されたためです。リディア王国を取り込んだことにより、優れた金貨の鋳造技術を手に入れたことも大きいです。

金貨のデザインとしてよく描かれたのが、弓と槍を持って走る王様です。アケメネス朝ペルシアでは、王様は神であると同時に戦士でもあったので、武器を持って走る王の姿が描かれていると言われています。

また1つ1つ手作りで作っており、歪んだ円形で形にばらつきがあるのも特徴です。そのため、この世に2つと同じものがないという希少価値があり、アンティークコインとしての価値も高くなっています。

まとめ

お金の起源とアンティークコインの起源について解説してきました。物々交換から始まった物の取引ですが、紀元前670年頃には最初の金貨ができ、金属貨幣が生まれています。それから現在まで、素材こそ変われど「丸くて平たい金属でできたもの」という形を変えずに、コインは歴史を刻んできました。

リディア王国や古代ギリシャ、アケメネス朝ペルシアといった古代のコインは、現在もコレクターの間で取引されています。2000年以上も昔のコインを手元に置けるロマンこそ、アンティークコインの魅力と言えるでしょう。

これからもアンティークコインにまつわるお話をお伝えしていきますのでよろしくお願いいたします。

みなさんにアンティークコインで幸あれ!