2023.08.21
資産としてのコイン
コイン解説&写真
【知識を身につけよう!】コインの材質について-①
みなさんごきげんよう、アンティークコイン投資家の葉山満です。
本日はアンティークコイン投資の成功に導く、たいせつな知識をお伝えしていきます。
アンティークコイン投資を始めるとき、金貨と銀貨のどちらから集めたら良いのか迷ってしまう方は大勢いらっしゃると思います。金貨の方が銀貨よりも高いと思いきや、銀貨の方が高額になっていることもあるからです。
銀より金の方が高そうに感じられますが、一体どうしてこのような逆転が起こることがあるのでしょうか?この記事では材質ごとにどんな価値があるのか解説し、コインの価値と材質にはどんな関係があるのか読み解いていきます。
非常に価値が高い試鋳貨(エセーコイン)についても解説するので、投資するコインを選ぶときにお役立てください。
材質ごとのコインの特徴
まずは、コインを材質ごとに分類して、どのような特徴があるのか見ていきましょう。以下の4つの分類で紹介していきます。
1. 金貨
2. 銀貨
3. 銅貨
4. ニッケル黄銅貨、白銅貨
1. 金貨
最も希少価値が高いのは、金を材質とした金貨です。金・銀・銅を比べると、金は地球に存在する量が最も少ないので、希少価値が高いのです。既に地球上の金の半分以上が採掘されたと言われており、資源が枯渇するのも時間の問題です。
人類にとっての初めての金属貨幣とされる、紀元前670年頃のコインは金貨であり、コインと金は古くから相性が良いものでした。アンティークコイン投資をしていると、金貨がよく流通していることに慣れて希少価値を忘れそうになってしまいます。しかし、実はアンティークコインの流通は限られた貴重な金の売買でもあるのです。
貴重な金を使った金貨に、面白いものがあるので紹介していきますね。18世紀の初めにイギリスで即位したアン女王の時代、イギリス海軍はヴィーゴ湾でのスペイン海軍との戦闘に勝利し、金貨や銀貨の戦利品をイギリスに持ち帰りました。押収した金貨・銀貨を一度溶かして作ったコインが、現在では「VIGO」と呼ばれ大変なレアもの扱いをされているのです。
特に5ギニー金貨のVIGOは非常に珍しく、市場に出てくれば億円単位の値段がつきます。5ギニー金貨は数多くありますが、VIGOは数が非常に少ないので、希少価値が高く評価されているのです。押収した金貨はわずか3キログラム程度だったそうで、作ることができた金貨も相当少ないです。同じ材質でも、背景にある歴史によって価値が異なるなんて、興味深くありませんか?
VIGOほどのレアものにお目にかかれる機会は一生に一度あるか無いかですが、他の金貨にも歴史的価値や美術的価値のほかに、貴金属としての非常に高い価値があるのは確かです。金への投資と美術品投資を1つのコインで両立できるメリットもあるので、アンティークコイン投資を始めるなら、金貨から狙って行くのが王道ではないでしょうか。
2. 銀貨
銀を材質とした銀貨は、貴金属の価値としては金貨の次点となります。ただし、コインの種類によっては金貨より銀貨の方がレアになるケースもあります。発行枚数の多さがコインの希少価値を決める重要な要素になるので、発行枚数が多い金貨よりも、発行枚数が少ない銀貨の方に高値がつくこともよくあるのです。
金貨の章で解説した、イギリスの銀貨にもVIGOの非常にレアなものがあります。スペイン海軍から押収した銀貨を溶かして作られたのが、アン女王時代のクラウン銀貨です。
VIGOのクラウン銀貨は、5ギニー金貨よりは目にする機会が増えるのですが、それでも相当に貴重なものです。100万円前後で取引されることが多く、グレードが高く状態が良いものだと数百万円は下りません。
同じ銀を材質にしたコインでも、発行枚数の少なさによって希少価値に差が出てくることも、アンティークコイン投資の面白さの一つです。数の少ない銀貨ほど値上がりしやすいと考えられるので、現存する枚数も踏まえて投資する銀貨を選ぶのがおすすめです。
3. 銅貨
材質が銅の銅貨や銅メダルも投資対象になるものが存在しますが、メインの投資先にはなりにくいように感じます。地球上に存在する量が銀よりも多いので、貴金属としての価値がそこまで高くないからです。日本の10円玉が銅でできていることからも、大量に存在することがイメージできると思います。
古代の銅貨や19世紀の銅メダルは流通してはいますが、今後の値上がりへの期待感も不透明なところです。ただし、手が届きやすい値段のものが多く、コレクションしやすいメリットもあります。基本的には金貨や銀貨への投資をしつつ、気になるものを見つけたら銅貨や銅メダルも収集していくのが良いのではないでしょうか。
4. ニッケル黄銅貨、白銅貨
現代の額面が低い記念コインは、ニッケル黄銅や白銅といった合金で作られていることが多いです。希少価値や貴金属としての価値は特に高くないので、ニッケル黄銅貨、白銅貨は投資には向きません。
発行枚数が非常に少ない記念コインなら、材質に関係なく希少価値が高まる可能性はありますが、そのような例は稀です。一般的に、額面の低い記念コインは流通量が多く、あまり値上がりは期待できません。
ニッケル黄銅貨や白銅貨も国内のコインなら法定通貨としては使えますし、コレクション目的での購入は良いと思います。ただし、投資目的には適さないことを理解しておきましょう。
いかがでしたでしょうか?次回は材質と価値の関係についてお伝えしていきます。
みなさんにアンティークコインで幸あれ!