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2024.01.29

古代

コイン解説&写真

世界初の金属貨幣『古代リディア 1/3スターテル エレクトラム貨①』

みなさんごきげんよう、アンティークコイン投資家の葉山満です。

今回は、古代コインの中でも特に押さえておきたい「世界で最初の金属貨幣」について解説していきます。金属貨幣の始まりは、古代のリディア王国という国で作られ使われた「エレクトラム貨」です。外見は金貨と同様に金色に光っています。

古代コインはアンティークコインのコレクターの間で人気が高まっており、取引価格が上がってきています。世界初の金属貨幣は歴史的な意味も非常に大きいので、今後も値上がりが期待できるコインです。

注目のエレクトラム貨について、どのようなコインなのか詳しく解説していきましょう。

古代リディア 1/3スターテル エレクトラム貨の基本情報

古代のリディア王国で使われていた1/3スターテルのエレクトラム貨について、基本情報を整理しておきましょう。

・国:リディア王国(現在のトルコのあたり)
・発行年:紀元前610年~紀元前546年頃
・発行枚数:不明
・素材:金銀合金
・直径:約13mm(円形でないものが多いので目安)
・重量:約5g
・表面:ライオン
・裏面:打刻印
・参考取引価格:100万円前後~数千万円

「スターテル」は通貨単位であり、1/3スターテルは額面です。

エレクトラム貨は正確な円形ではなく、楕円に近い形などいびつな形状のものが多いです(そのため、上記の直径は目安)。世界初の金属貨幣ということで、同じ形状でコインを何枚も発行する技術がまだ無かったためです。
また現代の薄いコインと異なり、豆のようにコロンとした形状でした。手作り感のある、いびつな形も、現代のコインとは違う愛らしさのようなものがあり、古代コインの人気の理由の一つとなっています。

コインの形状や刻印の正確性などが物によって異なるため、エレクトラム貨は形や刻印の精度によっても価格が異なります。一般的には、形は円形に近く、刻印は欠けるところなく正確に打たれているコインに高値が付きやすいです。ものによっては数千万円で取引されることもあり、非常に注目度の高いコインです。

表面・裏面のデザインについて

世界で初めてのコインには、すでに表面に絵が刻まれています。これは品質を保証し、コインが偽造されるのを防ぐ目的が主でした。原初のコインから、既に現在と同じように信用担保や偽造防止が図られていたのですね。

エレクトラム貨の表面のデザインには何パターンかありますが、共通しているのが、ライオンが描かれている点です。ライオンは当時のリディア国王であるアリュアッテス2世を象徴するモチーフです。アリュアッテス2世は世界で初めて品質を保証した貨幣を発行した国王として知られています。

裏面は絵ではなく、打刻印が刻まれています。これは表面に刻印を施す際、土台となる部分が裏面にめり込むために刻まれる刻印です。

素材について

エレクトラム貨は川の河床から得られた砂金(自然金)から作られました。自然金は銀を含む自然合金であり、金の割合は70%~90%程度でした。

エレクトラム貨の金の割合は40%~55%程度であり、銀の割合を増やして発行されていました。これは、発行する量を増やすためと、耐久性を向上させるためといった理由がありました。

当初は砂金を貨幣とし、計量して重量に応じた価値として取引に使っていましたが、計量には手間がかかってしまいます。手間を省くために砂金を溶かして均一な重量の塊とすることで、世界で初めてのコインが誕生しました。

「エレクトラム」はギリシャ語で琥珀を表す「エレクトロン」に由来しています。金と銀の合金は金よりは薄く淡い色であり、琥珀を連想させるため、エレクトラム貨と呼ばれるようになりました。

(画像:慶長小判)
ちなみに、日本の江戸時代に使われていた金貨、すなわち小判も金銀合金のエレクトラム貨幣です。広義に「エレクトラム貨幣」と言った場合、金銀合金でできた貨幣全般を指すこともあります。

次回はリディア王国で金属貨幣が誕生した理由など、歴史的背景についてお伝えします。

みなさんにアンティークコインで幸あれ!