2024.04.10
コイン解説&写真
チェコスロバキア
欧米の富裕層に人気がある大型の金貨「チェコスロバキア 10ダカット金貨①」
みなさんごきげんよう、アンティークコイン投資家の葉山満です。
近年、欧米の富裕層に人気があるのが、大型の金貨です。アンティークコインは現物資産で通貨の価値が下がったり、金融危機が到来したりしても値下がりしにくく、資産防衛に向いているからです。
今回ご紹介するチェコスロバキアの10ダカット金貨も、人気のある大型の金貨の一つです。チェコスロバキアは現在は存在しない国であること(チェコとスロバキアに分離した)、発行枚数が少ないことなどもあり、値上がりが著しい一枚です。
この記事では、通称「馬上の聖ヴァーツラフ」と呼ばれる10ダカット金貨と、聖ヴァーツラフについて解説していきます。この記事をアンティークコイン収集の参考に役立てていただければと思います。
チェコスロバキア 10ダカット金貨 馬上の聖ヴァーツラフの基本情報
チェコスロバキアで発行された10ダカット金貨、通称「馬上の聖ヴァーツラフ」について、基本情報を整理しておきましょう。
・国:チェコスロバキア
・発行年:1929~1938年、1951年(ご紹介する金貨は1936年発行)
・発行枚数:1936年は633枚
・素材:金
・直径:約42mm
・重量:約35g
・表面:馬に乗った聖ヴァーツラフ
・裏面:チェコを表すライオン、スロバキアを表す盾
馬上の聖ヴァーツラフは、直径4センチを超える大型の金貨でコレクターから注目を集めています。金貨はアンティークコインとしての希少価値のみならず、安定した投資先である金の性質も持つため、資産防衛のために大型の金貨は非常に人気があります。
馬上の聖ヴァーツラフは発行枚数が少なく希少性も高いため、500万円以上の非常に高い価格で取引されることも珍しくありません。特に1936年は633枚と枚数が少ないです。他の発行年だと、例えば1933年は1780枚です。これでもかなり少ない部類ですが、1936年の633枚の少なさをご理解いただけると思います。
聖ヴァーツラフとは
聖ヴァーツラフはチェコの守護聖人で、921年~935年にボヘミア公を務めたヴァーツラフ1世のことです。ボヘミアはプラハを含む現在のチェコとお考えください。
ヴァーツラフ1世はボヘミアのキリスト教化を進めた人物です。聖ヴィート大聖堂の始まりとなる聖堂の建設したり、ドイツから宣教師を招くなど、キリスト教化の施策を行いました。
また、東フランク王国の宗主権を認めて西ヨーロッパ世界の仲間入りを果たし、西側からの軍事圧力を緩和します。西側からキリスト教布教の援助を受けながら、王権とキリスト教による強い支配体制を確立していきます。
ただし、彼の政治方針を良く思わない勢力もいて、クーデターが発生します。クーデターの勢力はヴァーツラフ1世の弟であるボレスラフを立て、ボレスラフはヴァーツラフ1世を暗殺しました。
次回はチェコスロバキアの歴史についてお伝えします。
みなさんにアンティークコインで幸あれ!