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2024.03.15

古代

コイン解説&写真

成功への第一歩!アンティークコイン投資・国の知識を深めよう「古代ギリシャ編③」

みなさんごきげんよう、アンティークコイン投資家の葉山満です。

前回まで古代ギリシャの文明などお伝えしてきました、前回の記事はこちらをご覧ください。

今回は代表的なコインなどについてお伝えします。

テトラドラクマ フクロウ銀貨

古代ギリシャのコインで最も有名なのが、フクロウが描かれたテトラドラクマ銀貨でしょう。表面には女神アテナ、裏面にはフクロウがデザインされています。フクロウが刻印されているのは、女神アテナの使いだからです。ちなみに「ドラクマ」は通貨の単位で、「テトラ」は4という意味なので、この銀貨の額面は「4ドラクマ」となります。

フクロウ銀貨は発行年によってデザインが異なるので、購入するときはコインの写真や発行年の情報を確かめましょう。発行年によって希少価値も異なり、例えば紀元前455年から紀元前440年のコインは希少価値が高くて人気があります。

古代のコインらしく、素朴な印象のコインです。形も綺麗な円形ではなく、歪んだ形をしています。基本的には、円形に近くて綺麗な見た目のものの方が高い価格がつきやすいです。

デカドラクマ シラクサ銀貨

もう一つ、古代ギリシャのコインで有名なのがシラクサのデカドラクマ銀貨です。「デカ」は10という意味で、額面は10ドラクマです。

表面にはギリシャ神話で勝利をつかさどる女神の肖像で、アルテミスまたはアレトゥーサと呼ばれる女神です。女神の周りには、円を描くように3匹のイルカが描かれており、芸術的にも素晴らしいデザインです。

裏面は4頭の馬に戦車を引かせる御者が描かれています。表面も裏面もデザインが繊細で、フクロウ銀貨と比べるとかなり技術が進歩したことが感じられます。

この銀貨は紀元前408年に開催されたオリンピックの記念に発行されたと推定されています。現在の取引価格は数百万円から1000万円を上回ることもあり、非常に高く評価されている古代コインの一つです。

ヘレニズム時代

ペロポネソス戦争の頃、マケドニア王国が台頭して支配を広げていました。紀元前338年、マケドニアの国王フィリッポス2世がアテネ軍とテーベ軍に対して勝利し、ギリシャへの支配が始まりました。

その後、マケドニアのアレキサンダー大王は東方への遠征を開始し、ペルシア帝国を滅ぼして地中海からインダス川までの広大な領域を支配する帝国を作り上げました。こうして、長らく民主政だったギリシャはマケドニアの支配下に入ったのです。

ヘレニズム文化

ギリシャ文化はオリエントの文明と融合し、ヘレニズム時代を築きました。この頃の文化を「ヘレニズム文化」と言い、ギリシャの有名な美術品の多くが生まれました。

例えば、世界的に有名な『ミロのヴィーナス』という彫刻も、ヘレニズム時代に作られました。他にも『ラオコーン像』や『瀕死のガリア人』などが知られており、いずれも高い技巧を用いて作られた迫力のある造形が特徴です。

博物館を表す「ミュージアム」という単語も、ヘレニズム時代に登場しました。プトレマイオス王家が作ったアレクサンドリアの研究所を「ムセイオン」と言い、これが英語の「ミュージアム」の語源となっています。

ヘレニズム文化は、現代につながる学問や文化に大きな影響を残しています。美術品はインドを経由して中国や日本にも影響しており、私たちの文化も無関係ではないのです。

ローマ帝国の支配

ギリシャの次の時代と言えば、ローマ帝国でしょう。ローマ帝国は紀元前2世紀までにイタリアを統一すると、ヨーロッパに支配を拡大していきます。マケドニアやギリシャにも進出し、紀元前168年にマケドニア戦争でマケドニアを滅ぼすと、ギリシャを支配するようになります。

これをもってアテネの自治は終了し、ギリシャはローマ帝国の属州として支配されます。ローマ帝国の支配を、古代ギリシャの終焉と見て良いでしょう。

まとめ

古代ギリシャのコインと歴史について見てきました。世界で初めて民主主義が採用されるなど、古代ギリシャの文明は非常に進んでいたことが伝わったかと思います。

フクロウ銀貨やシラクサのデカドラクマ銀貨など、印象的な銀貨も残っています。紀元前のコインを手のひらの上で愛でる喜びもまた、コインのコレクターにしか味わえないロマンです。

古代コインは人気が高まってきているので、これからコイン投資をする方にもおすすめです。これから値上がりするコインを探し、古代コインを調べるのも面白いです。

みなさんにアンティークコインで幸あれ!