2023.08.25
資産としてのコイン
【知識を身につけよう!】アンティークコインの価値って?
みなさんごきげんよう、アンティークコイン投資家の葉山満です。
アンティークコインの価値を決める要素の一つが「グレード」です。専門の鑑定機関が真贋や価値を証明してくれるので、売買するときの価格を決める参考として大いに役立ちます。
この記事では、コインのグレーディングについて解説していきます。
まずは、世界の二大鑑定機関であるPCGSとNGCについてお話していきたいと思います。
アンティークコインの鑑定機関
アンティークコインの価値を大きく左右するのが、専門の鑑定機関によるグレーディングです。偽物ではなく本物であることを保証し、状態の評価も行ってくれるからです。グレードの高いコインほど値段が高いことは常識となっていますが、その「グレード」を評価する機関が存在するのです。
鑑定されたコインは、透明な専用のケースに入っています。ケース本体も偽造されるのを防ぐため、さまざまな工夫が凝らされているのですよ。ケースから取り出すと真贋の保証ができなくなるのですが、封を切らずに保管しておけばグレードが保証されます。
希少価値のあるコインの評価において有名なのが、PCGSとNGCという2つの鑑定機関です。これらの鑑定機関について、詳しく見ていきましょう。
PCGS
PCGS(Professional Coin Grading Service)は1986年にアメリカで設立されたコインの第三者鑑定機関です。アンティークコインの品質を保証するため、世界共通のグレーディング基準を設けた機関です。世界100ヶ国以上、16世紀までのコインを評価することができ、現在までに3000万枚以上のコインを鑑定してきています。
これは非常に画期的なことで、売り手と買い手が対等な立場でコインを取引できるようになったのです。基準が作られる前は、売り手が自分にとって不利な情報を隠したり、偽物を本物と偽って販売したりすることもできました。買い手はこのような不正を見抜かなければならず、非常に不利な立場にあったと言えるでしょう。
しかし、PCGSが第三者としてコインを鑑定するようになってからは、世界共通の明確な基準によってコインの価値が評価されるので、売り手が嘘をつくことができなくなりました。売り手も買い手も対等にコインの取引ができるようになったのです。現在、私たちがグレードによってコインを比較できるようになったのも、PCGSのおかげと言えるでしょう。
NGC
NGC(Numismatic Guaranty Corporation)は、1987年にアメリカで設立されたコインの第三者鑑定機関です。PCGSと同様に世界的な鑑定機関で、公平なグレーディング基準を設けています。
NGCは、米国のスミソニアン博物館や上海のミントミュージアムなどの歴史的にも重要なコインを鑑定してきました。鑑定できるコインの範囲も幅広く、中世や古代のコインの鑑定もできます。
コインの保管ケースはスミソニアン博物館と共同で制作したらしく、保存性に優れたケースなのも魅力があります。さらに、NGCは鑑定済みコインの写真を公式ホームページで公開することで、悪い人がケースを偽造して偽物を作るリスクを下げています。ケースを偽造して販売する悪質な業者もいますが、NGCの公式ホームページに載っていなければ偽物だと分かってしまいます。詐欺を防ぐ工夫がされていて良心的ですよね。
PCGSとNGCのグレーディングの違い
PCGSもNGCもコインの二大鑑定機関なので、これらの機関で鑑定されたコインなら、品質は疑いようがありません。ただし、比べてみるとPCGSの方が厳しく、NGCの方が緩い傾向があります。同じグレードの場合、PCGSの方が厳しいことが知られています。
最近ではこの事実が知られてきているので、PCGSの方が人気があるように感じられます。本来、売り手は評価の緩いNGCを好むのですが、二つの機関の評価の違いを分かっている買い手が増えてきたため、最初からPCGSで鑑定した方が売りやすい、という背景があるのでしょう。
できれば、PCGSによるグレードが高いコインを手に入れたいものです。ただし、NGCも優れた機関なので、NGCの鑑定に疑いがあるわけではありません。両方とも真贋は信用できますし、グレーディングの基準が両者で少し異なるだけなのです。
いかがでしたでしょうか?次回は実際のグレードを解説していきたいと思います。
みなさんにアンティークコインで幸あれ!