2023.12.4
ドイツ
コイン解説&写真
注目のコイン・マクシミリアン1世5ダカット金貨②
みなさんごきげんよう、アンティークコイン投資家の葉山満です。
今回は前回に続き注目のコイン『ドイツ バイエルン マクシミリアン1世 5ダカット金貨』の表面に描かれているマクシミリアン1世とはどのような人物だったのか、また裏面の都市景観の概要についても解説していきます。
それでは、マクシミリアン1世について解説していきましょう。
マクシミリアン1世について
マクシミリアン1世はイエズス会の教育を受けて育ったカトリック教徒です。1608年にドナウヴェルトを占拠すると、カトリック化を進めていきました。
しかし16世紀にはルターの宗教改革などがあり、プロテスタントも広まってきていました。マクシミリアン1世のカトリック化政策はプロテスタントに警戒され、プロテスタント同盟が結成されました。
これに対抗するべく、マクシミリアン1世は1609年にカトリック連合を組織し、その首領となりました。
1618〜1648年にかけて起きた30年戦争は、主に神聖ローマ帝国内でのカトリックとプロテスタントの争いです。マクシミリアン1世はこの戦争でカトリック派に属して戦いました。結果的に30年戦争にはプロテスタントが勝利し、カトリック教会は弱体化することになります。
しかし、その後のスウェーデンやフランスとの戦いにおいて国土を侵略されるものの、再建に尽力してバイエルンを大国としたのは、マクシミリアン1世の功績と言えるでしょう。
また、デューラーやルーベンスの絵画を集めてバイエルン家のコレクションを充実させた文化的な功績もあります。
裏面の都市景観とキリストとマリア
コインの裏面には、ミュンヘンの都市景観(画像上:ミュンヘンの街)が描かれています。ミュンヘンはマクシミリアン1世の生まれ故郷でもあります。
不思議なのが、ミュンヘンの上空にイエス・キリストを抱く聖母マリアと天使が浮かんでいることです。単なる都市景観ではなく神聖な印象のデザインであることも、コインの人気につながっているのでしょう。
コインが発行されたのは、30年戦争の真っ只中でした。ミュンヘンの上空にキリストとマリアと天使がいるのは、戦争によって破壊されるミュンヘンを聖母子と天使が守っていることを、暗に示しているのだと考えられます。「イエスさま、マリアさま、お守りください」といった願いが込められた護符のようなコイン、と言うこともできるでしょう。
この5ダカット金貨は、都市景観も聖母子も細かいところまで描かれており、芸術性も非常に高いコインです。人気があって高値で取引されることも納得の1枚ではないでしょうか。
まとめ
2回に分けてバイエルンのマクシミリアン1世の肖像が刻まれた5ダカット金貨について紹介してきました。グレードの高いコインなら1000万円を超える価格で取引されることもある、注目度が非常に高いコインです。
特に発行年の「1640」の刻印のされ方で2種類に分けられることを覚えておくと良いでしょう。この5ダカット金貨を見つけたとき、提示された値段で買うかどうかの判断に役立ちます。
残存枚数が少ないため、あまり頻繁にはお目にかかれないコインではありますが、もし出会うことができたら手に入れたい1枚です。ダカット金貨は全体的に価格が上がってきており、マクシミリアン1世の5ダカット金貨も例外ではないので、投資目的でもおすすめできるアンティークコインになります。
みなさんにアンティークコインで幸あれ!