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2024.01.12

イギリス

コイン解説&写真

注目すべきメダルはコレ!!『イギリス ウィリアム4世 戴冠記念メダル②』

みなさんごきげんよう、アンティークコイン投資家の葉山満です。

前回に引き続き注目したいイギリスのメダル『イギリスのウィリアム4世の戴冠を記念したメダル』をご紹介します。

ウィリアム4世について

ウィリアム4世は庶民と気さくに会話をしたり、海軍出身で船乗り王と呼ばれていたりと、エピソードが豊富な人物です。イギリスにどのような影響を与えた王なのか、詳しく解説していきます。

生い立ち

ウィリアム4世(ウィリアム=ヘンリー)はジョージ3世の三男ということで、王位継承権はあるものの兄たちと比べれば現実的には王位継承は遠く、比較的自由に育ちました。

13歳の頃に海軍に入隊したため、ウィリアム4世は「船乗り王」と呼ばれています。実際の海戦にも参加したことがあります。アメリカの独立戦争が起きたときはニューヨークにいました。軍艦「ペガサス」の艦長も務めたことがあります。また、現在のカナダに上陸した最初の君主でもあります。ウィリアム4世のフットワークの軽さは、海軍時代の経験から来ているのかもしれません。

ウィリアム4世はユーモアに富んだ親しみやすい性格なのですが、ユーモアには海軍での生活が影響したと考えられます。イギリス海軍は、航海中に暇な時間も多いため、暇つぶしとしてユーモアが重宝されたからです。

高齢での即位

ウィリアム4世がイギリスの国王に即位したのは、65歳のときのことでした。現代の日本なら定年退職の年齢ですし、非常に高齢での即位であることが分かります。

背景には、ジョージ3世の長男で国王のジョージ4世は子供に恵まれず、唯一の嫡出子であるシャーロット王女は亡くなっており、またジョージ3世の次男のフレデリックも先に亡くなっていたことが挙げられます。ジョージ4世の次の王位継承者がウィリアム4世で、65歳になってようやく順番が回ってきた形です。

質素な戴冠式

ウィリアム4世は即位に際し、戴冠式はお金の無駄なのでやらなくて良いといったことを言っています。周囲の説得に応じて、節約して質素に執り行うことを条件に戴冠式をやることになり、1831年9月8日にウェストミンスター寺院で戴冠式が行われました。(画像:ウェストミンスター寺院)

当時の派手好きの貴族たちが地味な式などつまらないと騒いでも、ウィリアム4世は「ウェストミンスター寺院が広々として涼しげではないか」と言って全く気にしなかったそうです。

ウィリアム4世の派手なことにお金を使わない性格は、メダルのデザインにも現れているかもしれません。国王の戴冠記念メダルとなれば、通常は王冠を被った国王の肖像と派手な紋章が描かれることが多いえす。しかしウィリアム4世の戴冠記念メダルは王であることすら分からないくらいシンプルな肖像で、あまり見栄を感じられません。そうした性格が、庶民に愛された理由なのかもしれません。

大英帝国の繁栄のプロローグ

ウィリアム4世は65歳と高齢で即位したため、在位期間はたったの7年と短いものでした。

当時のイギリスは産業革命によって世界の工場となりましたが、足りない労働力を補うために子供に無理な労働をさせるといった労働問題が噴出します。貧困層の暮らしも問題となりました。結論から言えば、ウィリアム4世はたった7年在位期間においてすべてを解決することはできませんでした。

しかし、ある意味で最大の功績とも言えるのが、姪のヴィクトリアが成人するまで生きて王位を守ったことです。ヴィクトリアとはイギリスが最も栄えてた時代を治めたヴィクトリア女王のことです。
(画像:ヴィクトリア女王)

ウィリアム4世は娘に先立たれており、次の王位継承者は姪のヴィクトリアでした。ただし、ヴィクトリアが成人する前に王位を継承した場合、母親であるケント公妃が摂政として国王ではないものの実権を握ることになります。(画像:ケント公妃)

ウィリアム4世としては、娘に先立たれて姪を可愛がりたかったのに、事あるごとにしゃしゃり出てきた母親のケント公妃が気に入らなかったようです。ケント公妃はヴィクトリアの私的な旅行を勉学として公費を請求したり、ケンジントン宮殿の部屋を勝手に占領したり、ウィリアム4世の本妻以外の子供たちに嫌がらせをするといった行為があったためです。

そんなケント公妃だけは政治に関わらせたくないとの思いがあったのか、ウィリアム4世は晩年、自分の誕生日を祝う晩餐のスピーチでケント公妃への怒りを露にしました。ヴィクトリアが成人して王位を継承し、忌々しいケント公妃が摂政となる事態を避けるため、自分の寿命があと1年長らえることを念じるとスピーチしています。

念願が叶ったと言うべきか、ヴィクトリアは18歳で成人を迎えてから王位を継承しました。身勝手なケント公妃を摂政にしなかったことは、ある意味でウィリアム4世の大きな功績と言えます。

まとめ

ウィリアム4世の戴冠記念メダルやウィリアム4世について解説してきました。ウィリアム・ワイオンがデザインしたメダルで人気があり、価格上昇も期待できます。ぜひコレクションに加えてみてはいかがでしょうか?

みなさんにアンティークコインで幸あれ!