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2023.09.4

資産としてのコイン

コイン解説&写真

『このコインが欲しいっ!』って思った時の適正コイン価格の見極め方法は?

みなさんごきげんよう、アンティークコイン投資家の葉山満です。

同じアンティークコインなのに、価格が全く違う商品に出会い、困惑したことはありませんか?同じ種類のコインでも、さまざまな理由があって価格に違いが出るのです。

これを理解していないと、投資するために値上がりしそうなコインを買ったのに、自分のコインは値上がりしないといった事態になってしまうかもしれません。

この記事では、コインの価格の複雑な決まり方の一端をご覧いただくべく、価格を見極める代表的な6つのポイントを解説していきます。

コインの価格は変動する!

投資価値のあるコインには、コインの額面とは違う価格がつけられていることがほとんどです。現在使用できないコインの場合、希少価値が高ければ額面よりもずっと高額で取引されます。一方で、価値が認められないコインの場合、原材料となる金や銀の価値として価格がつけられることになります。

100年以上の歴史を持つアンティークコインは、近年オークションでも価格が高騰してきています。イギリスのナイト・フランク社が2020年に発表したレポートによると、2019年までの10年間でコインの価格は175%も値上がりしたそうです。直近の1年でも3%値上がりしており、今後も値上がりすることが期待されます。

値上がりするコインに先回りして投資することができれば、大きな利益を出すことができますよね。そのためには、コインの価格はどのように決まるのかを知ることが肝心です。
次の章では、コインの価格を決める5つの要素について見ていきましょう。

コインの価格を決める6つの要素

コインの価格はさまざまな要素が複雑に絡み合って決まります。このグレードなら○○円、などのように決まっているわけではないのが難しいところです。

この章では、コインの価格を見極めるのに重要な6つの要素を解説していきます。ですが、これら6つの項目だけでも複雑ですし、コインの種類によっては他の要素が重要になることもあります。
コインの価格の奥深さを知る第一歩として、読み進めていただければと思います。

1. 現存する枚数の少なさ
2. コインのグレード
3. コインの人気
4. 鋳造された年号や土地
5. 歴史的な背景
6. 景気の変動

1. 現存する枚数の少なさ

コインの価格を決める上で最も重視されるのが、現存する枚数の少なさです。枚数が少ないほど希少価値が高いので、高い値段がつけられます。

最初から発行枚数が少ないコインはもちろん、発行枚数は多くても綺麗な状態で残っているものが少ないコインの場合、グレードによっては非常に高い価格をつけることがあります。発行枚数よりも「現在どれくらいの量があるのか」が重要となります。

また、極端に枚数が少なくて新品同様の美しいものが存在しないコインの場合、多少グレードが低くても高額な価格がつけられることも珍しくないです。それほど、コインの枚数は価格に大きく影響するのです。

現存する枚数を知るためには、PCGSNGCといった鑑定機関で検索すると良いでしょう。コインの発行枚数や現存する枚数が掲載されているものが多いので、自分が持っているコインや欲しいコインがどれくらい希少なのかを考えるヒントにすることができます。

2. コインのグレード

コインの状態を評価する「グレード」も、価格を決める重要な要素となります。ピカピカで新品同様のものを「未使用品」と言い、この状態で傷が少なければ少ないほど価格は高くなります。

グレードの用語は若干分かりにくいものが多く、「極美品」や「美品」といったグレードもあります。しかし、美品クラスだと特段美しさは感じられず、「普通のコイン」といった印象です。そのため安く買えるものが多いのですが、「美品なのにこんなに安く買えるんだ!」と思ってはいけません。普通クラスの品物なので、リーズナブルな価格で買える、という意味なのです。

ちなみに、美品は英語で「Very Fine」、劣品は「Very Good」です。「とても良い状態」と直訳できますが、普通か劣化した状態のコインのグレードを指す用語ですので、間違えないように気を付けましょう。

なお、上述のとおりグレードが低くても高い価格がつけられることはあります。現存する枚数が極端に少ない場合などは、グレードが多少低くても欲しがる人が多いので、価格が高騰しやすいです。

3. コインの人気

コインの種類によって欲しがるコレクターの数が違うので、人気もコインの価格を決める重要な要素となります。例えば、19世紀のイギリスでヴィクトリア女王の即位記念に発行された5ポンド金貨「ウナとライオン」は、人気が非常に高く世界で最も高額に取引されるコインの一つです。

ウナとライオンの人気の背景には、発行枚数の少なさやデザインの精密さなどがあるのですが、人気が人気を呼んで需要が高まっている、という見方もできます。他のコレクターが憧れているから自分も欲しくなる人が増えている、というわけです。誰もが欲しがるコインを持つのは富裕層のステータスでもあるため、人気が人気を呼んでいる状態になっています。

例えば、オークション会場を想像してみてください。参加者の多くが欲しがるコインが出品されたら、たちまち入札競争になりますよね。しかし、コインを手に入れられるのは1人だけです。その場で最も高い価格をつけられる人が手に入れられるので、ステータスの象徴になるのです。

このように、人気があるコインは価格も上がりやすい傾向があります。逆に言うと、ブームが下火になると価格が上がりにくくなりますし、別のブームが到来して他のコインの人気が上がって価格が上がることもあります。現存する枚数やグレードと違って目に見える証拠が無いので、人気を投資のヒントにするのは難しいかもしれません。

4. 鋳造された年号や土地

同じコインでも、鋳造された年号や土地によって価格が変わることがあります。年号が1年異なるだけでも、価格が1桁違ってしまうこともあるのです。

例えば、18世紀~19世紀のスペイン統治下のメキシコで鋳造された8レアル銀貨「ピラーダラー」は、年号が異なるだけで価格が大きく変わるコインの好例です。ピラーダラーが初めて鋳造された1732年の年号が刻まれているものは、状態が良ければ数百万円の高値で取引されています。それ以外の年号だと、高くても10万円程度の価格となっています。

【フェリペ5世 8レアル銀貨 1732 起源 ピラーダラー】

このように、鋳造された年号や土地によっても価格が異なるのです。
正直、コインディーラーでもない個人の投資家の方に、ここまで細かいことは覚えられないですよね。年号や土地のような非常に細かい要素までコインの価格決めに関わってくるため、素人には価格の付け方が分かりにくい世界なのです。

5.歴史的な背景

コインが持つ歴史的な背景によって、高い価格がつけられることがあります。例えば、18世紀初頭のイギリスで作られた「VIGO」と呼ばれる金貨や銀貨は、歴史的な背景もあって非常に高い値段がつけられています。

VIGOは当時のイギリス艦隊がVIGO湾でスペイン艦隊に勝利したことを記念して作られたコインで、スペイン艦隊から略奪した金や銀を使って作られました。通常のコインと同じようなデザインですが、「VIGO」と刻まれているのですぐに見分けがつきます。

VIGOはそもそも発行枚数が少ないため、希少価値が高いコインです。その上、歴史的な勝利の記念に作られたコインという背景が合わさり、アンティークコインのコレクターの心を揺さぶるコインとなっています。現存する枚数の少なさと歴史的背景のロマンにより、非常に高い価格がついているのです。

6. 景気の変動

アンティークコインの価格は、景気の変動とも関係があります。金融危機のときに金が値上がりするのと似ており、アンティークコインも金融と切っても切り離せない関係があるのです。

ただし、希少価値の高いコインと、それほどでもないコインとでは、値動きの特性が大きく変わります。希少価値が高いコイン(これまでに挙げた項目を多く満たすコイン)の場合、好景気・不景気に関係なく欲しがるコレクターが大勢いるので、いつでも高値で売買されています。リーマンショックやコロナショックによって世の中が不景気になっていても、資金が潤沢な富裕層たちはコインにお金をかけることができるためです。

一方、そこまで希少価値が高くないコインは、金の価格と連動する傾向があります。金は不景気で値上がりして好景気で値下がりする特性があるのですが、価値が高くないコインも同じように値動きすることが多いです。コインが貴金属として見られている、と言い換えることができるでしょう。

以上のように、コインの価格はさまざまな要素によって決まります。代表的な6つを挙げましたが、これですべてではないので、コインの価値を学ぶための入門としてご参考ください。

まとめ

アンティークコインの価格を見極めるポイントについて解説してきました。代表的な6つの要素について、理解を深めていただけたでしょうか。

もし自分が持っているコインや狙っているコインの価格を知りたいなら、PCGSやNGCで検索してみることをおすすめします。過去のオークションでいくらで落札されたかが分かる範囲で記載されているので、参考になると思います。

次回もアンティークコイン投資で持っておくべき知識をお伝えします。

みなさんにアンティークコインで幸あれ!