COLUMN
コラム

2023.10.20

ドイツ

コイン解説&写真

成功する投資『ドイツ編②』アンティークコインの知識を深めよう!

みなさんごきげんよう、アンティークコイン投資家の葉山満です。

前回は神聖ローマ帝国が誕生するまでのドイツ、またハプスブルク家についてお伝えしました。

16世紀のドイツにおける重要な出来事の一つが、宗教改革です。ローマ教皇がドイツで「免罪符」を販売したことに対し、マルティン・ルターが反発したことがきっかけです。(画像:贖宥状「免罪符」の販売)

ローマ=カトリック教会では、「免罪符」を買った人は前世の罪を許され、天国に行くことができるとして販売しました。現代の私たちからすれば違和感が大きいですが、当時の人々はどう感じたのでしょうか。

ルターが「信仰のみによって救済される」と説いたのも当然と言えるかもしれません。しかし、カトリック教会の思想と対立したため、ドイツ内では混乱が広がりました。(画像:マルティン・ルター)

当時の皇帝であったカール5世はルターに撤回を求めますが、ルターは拒否。ヴォルムス勅令を発令してルターを異端として追放しました。
(画像:カール5世)

しかし、教会の搾取に不満を募らせた諸侯や、諸侯から搾取される農民たちも、教会の権威を否定するルターの思想に賛同します。農民が諸侯に反乱を起こす農民戦争が各地で起き、ルター派を認める諸侯が増え、ルター派のプロテスタントとカトリックの対立は深まります。

この流れを受け、カール5世はプロテスタントを容認し、諸侯がプロテスタントとカトリックのどちらか好きな方を選べることにしました。

30年戦争と神聖ローマ帝国の衰退

プロテスタントとカトリックの好きな方を選べることになっても、宗教対立は収まりませんでした。1618年から1648年の宗教戦争を「30年戦争」と呼び、最長の宗教戦争となりました。

なぜ拡大し長期化したのかと言うと、ドイツの国内だけでなく、ヨーロッパの周辺の国々も介入してきたからです。同じカトリックの国であるフランスとスペインが争ったことからも分かるとおり、宗教という建前で主権を争う戦争に発展してしまったからです。

最終的にはカルヴァン派などの新教も認められる形で終わったのですが、諸侯に主権が認められて皇帝は事実上の敗北となり、神聖ローマ帝国は力を失いました。

プロイセン王国の台頭

諸侯の中で力を延ばしたのが、ドイツの北東部にあるプロイセン王国です。18世紀にはオーストリアとの戦争でハプスブルク家を破り、存在感を示します。

神聖ローマ帝国が弱体化した頃、フランスではナポレオンが皇帝に即位して周辺に支配を広げていったため、ドイツもその支配下に置かれます。プロイセンはフランスに対して宣戦布告をしましたが、結果は敗北。しかし、それが逆に国民をまとめたと言われています。

ナポレオン軍がロシアに攻め入っている間、ドイツを含む各国はナポレオンへの抵抗を始め(解放戦争)、勝利します。1814年にはナポレオンの支配は終わり、ドイツは統一へと向かって行きます。

ビスマルクとドイツ帝国の誕生

鉄血政策で知られるビスマルクがプロイセンの首相に就任すると、ドイツは統一に向かって行きます。1866年にドイツ連邦をめぐって対立が続いていたオーストリアとの普墺戦争に勝利し、北ドイツ連邦を発足させました。
(画像:オットー・フォン・ビスマルク)

1870年にはフランスとの戦いである普仏戦争に勝利し、占拠したベルサイユ宮殿にてヴィルヘルム1世のドイツ皇帝戴冠式を行い、ドイツ帝国を誕生させました。ビスマルク自らもドイツ帝国の初代首相になりました。
(画像:ヴィルヘルム1世)

ヴィルヘルム1世の10マルク金貨

通貨の単位はダガットからマルクに変わり、10マルク金貨には国王であるヴィルヘルム1世の肖像が刻まれました。裏面には鷲の紋章が描かれています。

初代のドイツ帝国国王時代のコインですが、数万円台から購入することができます。基本的には、地金相場プラスアルファでの値動きなので、まだまだ買いやすいコインと言えます。

ヴィルヘルム2世の20マルク金貨

後を継いだヴィルヘルム2世の20マルク金貨は、地金型コインとして人気があります。金としての価値をメインに捉えられているため、預金代わりに持っておく人もいます。地金相場プラス30%程度の価格となっていますが、希少価値が高まるにつれて値上がりも期待することができます。

ヴィルヘルム2世の20マルク金貨も今のところ数万円台で購入できるので、コインのコレクションが初めての方でも始めやすいでしょう。

第一次世界大戦とワイマール共和国時代

1914年、ドイツ、オーストリア、イタリアの三国同盟とイギリス、ロシア、フランスの三国協商の対立を背景に、第一次世界大戦が勃発しました。戦車や戦闘機、毒ガスなどの近代的な兵器も使われ、国民を巻き込んだ総力戦となって4年もの間戦争が続きました。当初は数ヶ月で終わると言われていたそうです。

ドイツでは敗戦間近に革命が起こり、当時の皇帝だったヴィルヘルム2世は亡命し、戦争は終結します。君主制は廃止され、ワイマール共和国が発足しました。しかし課題は山積みで、インフレや巨額の賠償金といった問題を抱えることとなりました。

1兆マルク銀貨

ドイツで発行されたコインには、「1兆マルク銀貨」という世界最高の額面金額を誇るコインがあるので、豆知識として知っておくと面白いと思います。1921年から23年に発行された1兆マルクのコインは、直径約6センチとサイズも大きいです。

当時のレートは1米ドル=1マルクだったので、このレートが今日まで存続していれば、たった1枚で約100兆円という恐ろしいコインになっています。

しかし、1923年の通貨危機によってマルクの価値は大暴落します。もともとハイパーインフレが起きており、1兆マルクなどというコインが作られるに至っていたので、崩壊も時間の問題だったと言えます。

現在の取引価格は数万円から10万円程度で、手の届きやすい値段となっています。
これから100兆円まで値上がりすることは無いと思いますが、面白い歴史を背負ったコインなので、機会があったら見てみたいですよね。

第二次世界大戦とヒトラー政権

ドイツの歴史で避けては通れないのが、ヒトラー政権と第二次世界大戦です。第二次世界大戦はドイツ、日本、イタリアの枢軸国と、イギリス、フランス、アメリカ、ソ連、中国などの連合国との間で起きた、1939年から1945年の戦争のことです。

戦争の原因となったのが、第一次世界大戦で負けたドイツへの締め付けと考えることができます。戦勝国から課された制限が、ドイツの国家主権を侵害していると訴えるナチスの台頭につながってしまいました。

1939年にドイツがポーランドを侵攻したとき、イギリスとフランスがドイツに宣戦布告をして第二次世界大戦が始まりました。ドイツはデンマーク、ノルウェー、オランダ、ベルギーを占領し、フランスのパリへも侵略します。

1942年からアメリカなど連合国も反撃し、ソ連軍はスターリングラードでドイツ軍を撃破しました。1945年にはソ連軍が東から、アメリカ軍が西からドイツを攻め、ヒトラーの自殺もあってドイツ軍は無条件降伏しました。

東西に分裂されたドイツと統一

1949年、第二次世界大戦で敗北したドイツは東西に分割されました。東には社会主義体制のドイツ民主共和国が、西には民主主義のドイツ連邦共和国が誕生します。

ところが、東ドイツから自由で豊かな西側へと人口が流出していきます。これを防ぐために作られたのが、1961年のベルリンの壁です。

1989年、東ドイツの政府は人々の移動をようやく、東西の行き来が自由になりました。これを受けて市民たちがハンマーを持って壁を壊しました。

翌年の1990年には、西ドイツが東ドイツを併合してドイツが統一されました。ようやく現在の姿になったのですね。今はEUを率いる大国となっており、1992年にユーロを導入したため、通貨もマルクではなくユーロになっています。

まとめ

ドイツのコインと歴史について見てきました。ドイツの歴史は分裂と統一の連続なので、かなり難しいと感じる方が多いのではないでしょうか。

コインのコレクターや投資家の目線で見るならば、神聖ローマ帝国のコインは今後の注目度が上がっていくと考えられます。集めやすいイギリスのコインが高騰している今、神聖ローマ帝国を中心にドイツのコインにも関心を広げてみてはいかがでしょうか。

みなさんにアンティークコインで幸あれ!