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2023.10.23

コイン解説&写真

アメリカ

成功する投資!押さえておきたい国の知識『アメリカ編①』

みなさんごきげんよう、アンティークコイン投資家の葉山満です。

今でこそ世界のリーダーであるアメリカ合衆国ですが、その歴史は意外と浅く、15世紀末にコロンブスが新大陸を発見したことを合衆国の始まりとする場合が多いです。
古代ギリシャなどに遡り、数千年の歴史を持つヨーロッパ諸国とは、その意味で毛色が違います。

コインも18世紀以降のものが珍重されており、ヨーロッパのコインを集めている人からすると「割と最近のものをコレクションするのだな」と思われるでしょう。

植民地だったアメリカがいかにして世界のリーダーになったのか、この記事で歴史とそれを象徴するコインを見ていきましょう。アメリカのフロンティア精神に惚れて、コインを集めていくのも良いと思います。

新大陸の発見

ヨーロッパがアメリカ大陸を発見したのは、15世紀末のことです。
大航海時代、コロンブスが北アメリカ大陸を発見すると、スペイン人、
フランス人、イギリス人などヨーロッパ人が入植していきました。

入植が進むと、イギリスとフランスの入植者どうしが争ったり、先住民のインディアンとの争いが生じたりします。これらの戦いを有利に進めたのはイギリスですが、戦争の負担は次第に大きくなっていきました。

ちなみにヨーロッパからの入植が行われる前、アメリカ大陸の先住民たちは身近なものを貨幣として扱っていました。貝やカカオ豆を貨幣として使っていた部族もあるそうです。

アメリカ独立戦争

イギリスの戦争負担が膨らむと、アメリカ植民地に重税を課したため、植民地側の反発を招きました。1773年の茶法の制定が決定的で、イギリスからの搾取が明白になるとボストン港に入港していた東インド会社の船に乗り込み、茶の入った箱を海に投げ捨てます。真犯人を追求しようとするイギリスに対し、植民地の人々は「ボストンで茶会を開いただけだ」と冗談を言ったため、「ボストン茶会事件」と呼ばれています。

これがきっかけとなり、独立戦争に突入します。1775年に北アメリカ東部の13の植民地が立ち上がり、ワシントンを独立軍司令官としてイギリスと戦いました。1776年7月4日に、トーマス・ジェファーソンらが起案した独立宣言が採択され、イギリスからの独立を宣言して現在のアメリカ合衆国が誕生しました。(画像:トーマス・ジェファーソン)

アメリカの独立後、ヨーロッパではナポレオンが力をつけて支配を拡大したため、アメリカに入植していたヨーロッパ勢は手を引いていきます。これを背景に、アメリカは西へと領土を拡大していきました。

フローイングヘアー1ドル銀貨

独立後の貨幣で非常に名高いのが、『フローイングヘアー』と呼ばれる1ドル銀貨です。フローイングヘアーは1794年から1795までの2年間しか発行されておらず、枚数も2000枚弱と非常に希少です。

現在最も高い価格で取引されるコインの一つで、取引価格は数億円のレベルです。2013年には1794年の未使用品が1001万6867ドルで売却されました。日本円に直すと約11億円で、1枚のコインについた値段としては最高額です。

なぜこれだけ高額で取引されるのかというと、フローイングヘアーはアメリカ合衆国連邦政府が発行した最初の1ドル硬貨だからです。
イギリスからの独立と合衆国の始まりを感じさせるロマンが詰まった1枚だからこそ、市場で高く評価されているのですね。

多少状態が悪くても、フローイングヘアーは高値で取引されています。億円単位の金額がつくので手を出しづらいですが、オークションなどで見かける機会があったら実物を見てみたいですよね。

ゴールドラッシュ

コインのコレクターや投資家が特に押さえておきたい歴史上の重要な出来事が、1848年からのゴールドラッシュです。世界各地のゴールドラッシュと区別し、カリフォルニア・ゴールドラッシュと呼ぶこともあります。

カリフォルニアの農場で働いていた男性が偶然、川で砂金を見つけたことから始まるゴールドラッシュ。アメリカ国内だけでなく世界に知れ渡り、アメリカ内外の一攫千金を夢見る人々がカリフォルニアを目指しました。1849年だけでも、移民の数が8万人に達したそうです。

カリフォルニアに集まった人々は、全員が金を採掘したわけではありません。鉱山の権利をめぐるトラブルを解決する弁護士や、金を現金化する銀行マンなど、付随する職業の人々も大勢来ていました。

代表的なのが、デニムジーンズのブランド「リーバイス」です。過酷な金の採掘にも耐えられる丈夫なズボンを制作して鉱夫に販売したのが始まりで、世界的なブランドに成長していきました。

ゴールドラッシュで本当に儲けられたのは、金を掘った人ではなく、金を狙ってやって来た人を相手にした商売だったのですね。現代でもビジネスの格言に「金を掘るのではなく、つるはしを売れ」と言われるとおりです。

話が逸れましたが、当時はカリフォルニアで採掘された金を使って金貨を作っていました。ゴールドラッシュの夢が詰まった金貨を見ていきましょう。

ハンバート50ドル金貨

ゴールドラッシュ当時に発行された、八角形で珍しい形をした50ドル金貨は、非常に有名で人気があるコインです。デザインを手がけたのはアウグストゥス・ハンバートで、当時のカリフォルニア州で発行されたコインの多くをデザインしています。(画像:ハンバート50ドル金貨)

50ドル金貨の表面は躍動感あふれるイーグル、裏面は中心から縁に向かって直線が走る放射状のデザインです。

1853年には鋳造が中止され、また多くが溶かして金塊にされてしまったため、現存する金貨は少ないです。このような背景もあって希少価値も高く、10年で3倍近い値上がりを見せています。

ハンバートは他の額面のコインも手掛けているので、カリフォルニアコインを調べていると頻繁に目にする名前です。他の金貨も人気があって値上がりしているので、ハンバート作品をコレクションするのも面白いでしょう。

セントラルアメリカ号のリバティ20ドル金貨

1857年に沈没したセントラルアメリカ号から引き上げられた金で作られたコインも、高い人気を誇っています。1枚にアメリカの栄光と沈没の暗い側面が詰まっているからでしょうか。

コインの紹介の前に、セントラルアメリカ号の沈没についてお話していきましょう。1850年代、セントラルアメリカ号はカリフォルニアのサンフランシスコとパナマを結んで行き来していた船です。

ところが、1857年にカリフォルニアの金をニューヨークまで運んでいる最中、ハリケーンに遭遇して沈没してしまいます。約10トンもの金を積んでいたそうで、アメリカの経済に大きなダメージを与え、1857年恐慌をも引き起こすことになりました。

そのまま行方不明になっていたのですが、1988年に沈没したセントラルアメリカ号が見つかりました。そのときに引き上げられたリバティ金貨が現存しているのです。表面には自由の女神の横顔が、裏面には2羽のイーグルがデザインされています。

なお、リバティ20ドル金貨は1849年から1907年まで作られており、もちろん全てが引き上げられた金貨なわけではありません。「1857-S」のように年号に「S」がついているコインが、セントラルアメリカ豪から引き上げられた金貨なので、購入の際は見間違えないようにしましょう。

南北戦争

西へ領土を拡大して現在の近い国土を獲得したアメリカですが、南北では大きな格差と対立がありました。産業革命が進む北部では、競合となるイギリス製品を排除するため保護貿易を望む一方、綿花を生産する南部は輸出先を確保するため、自由貿易を望んでいたからです。

南部の綿花生産の増大の背景には、プランテーションをささえる黒人奴隷の存在がありました。北部では早くから黒人奴隷を認めない州もあったのですが、南部では不可欠な存在となっていました。こうして奴隷制をめぐる対立が深まっていきます。(画像:エイブラハム・リンカーン)

1860年に北部の代表であるリンカーンが大統領になると、南部は合衆国を離脱して「アメリカ連合国」として独立を宣言しました。対立は1861年に始まる南北戦争に発展し、当初はイギリス・フランスの支援を受けた南軍が優勢でした。しかし経済力で上回る北軍が挽回し、1863年のリンカーンによる奴隷解放宣言や西部の指示などを受け、最終的には1865年に北軍が勝利します。

モルガン1ドル銀貨

「モルガン・ダラー」と呼ばれる、アメリカコインを代表するコインを紹介しておきましょう。モルガン・ダラーは1878年~1904年、1921年と長きにわたって発行されたため、枚数自体は多いです。未使用品は高値で取引されていますが、そうでなければ手の届かない値段ではないことや、直径4センチ近いサイズや美しいデザインのため人気があります。

この銀貨はジョージ・T・モルガンという彫刻家によるデザインのため、「モルガン・ダラー」と呼ばれています。表面には自由の女神の横顔が、裏面には国鳥のイーグルが描かれています。まさにアメリカを象徴するコインと言えるでしょう。

発行年別に見ると、最も高値で取引されているのは1895年に発行されたフィラデルフィアコインです。プルーフ硬貨の場合、100万円以上で取引されることもあります。

次回は第一次戦争以降のアメリカについてお伝えします。

みなさんにアンティークコインで幸あれ!