![](https://hayamamitsuru.com/wp-content/uploads/2023/10/rectangle_large_type_2_ea374c96141dc0d7c765336e7a7d17d9.webp)
2023.10.25
コイン解説&写真
アメリカ
成功する投資!押さえておきたい国の知識『アメリカ編②』
みなさんごきげんよう、アンティークコイン投資家の葉山満です。
前回に引き続きアメリカの第一次世界大戦以降の歴史、コインをお伝えします!
第一次世界大戦
20世紀に入ると、世界は二度の世界大戦を経験します。一つ目の第一次世界大戦は、1914年~1919年までに起きたヨーロッパを中心とした戦争です。
![](https://hayamamitsuru.com/wp-content/uploads/2023/10/picture_pc_8146f616689828049c796f6b76b08f24-675x438.webp)
基本的にはヨーロッパでの戦争なので、最初からアメリカが大きく関与していたわけではありません。ヨーロッパでの争いには介入しないというモンロー主義を採用していたこともあり、当初は中立の立場でした。
しかし1915年にドイツの潜水艦がイギリスを攻撃し、大勢のアメリカ人が犠牲になるルシタニア号事件が起き、これをきっかけにアメリカでもドイツに対する敵対心が高まりました。1917年にはドイツへの宣戦布告を行い、第一次世界大戦に参戦することになりました。(画像:ルシタニア号事件)
![](https://hayamamitsuru.com/wp-content/uploads/2023/10/picture_pc_dcc9d26dad74b358f87d2a48716de0a5.webp)
結果的に戦勝国となったことに加え、ヨーロッパへの輸出でアメリカは莫大な利益を得ることができました。また、自国がメインのターゲットになったわけではないため、大きな被害もありません。戦争で利益を得て、国内総生産(GDP)はイギリスを抜いて世界一位となりました。
アメリカパナマ太平洋博覧会記念金貨
当時のコインで非常に高値がついているものに、1915年の記念コインがあります。パナマ運河の開通と太平洋発見400周年を記念し、サンフランシスコで開催されたパナマ太平洋博覧会の資金調達のために作られたものです。特に50ドルの金貨は枚数が少なくて希少価値が高く、数百万円から数千万円の価格で取引されることもあります。
![](https://hayamamitsuru.com/wp-content/uploads/2023/10/picture_pc_abde7ad8b4503fc376072e5d14c33f87.webp)
![](https://hayamamitsuru.com/wp-content/uploads/2023/10/picture_pc_0ad00943b57569686c32318d353e218d.webp)
50ドル金貨には円形と八角形の2種類があり、発行枚数は円形が483枚、八角形が645枚です。円形の方が発行枚数も残存枚数も少ないので、より高い価格で取引されやすい傾向があります。
世界恐慌
1920年代はアメリカの黄金期とも言われており、資本主義や工業化が急速に進んで大量生産・大量消費が行われました。これは商品の飽和状態を招きましたが、企業は資金を調達して設備投資を続けて生産し続けるので、需給のバランスは徐々に崩れていきます。
好景気を背景に投資ブームが加熱するのですが、実際の需要とかけ離れていたこともあり、株価暴落を引き起こします。これが1929年の世界恐慌です。
この大暴落によって銀行が倒産し、融資を受ける企業も倒産、預金を預けていた個人もお金を失い、失業率は25%にも上りました。さらにアメリカだけでなく、不景気は世界に広がって世界的な恐慌となりました。
(画像:世界恐慌初期の取り付け騒ぎ)
![](https://hayamamitsuru.com/wp-content/uploads/2023/10/picture_pc_28085f8ba43bbcb2d86f4ed52da7abbb.webp)
アメリカは当時のローズベルト大統領がニューディール政策を打ち出し、イギリスやフランスはブロック経済体制を敷き、ドイツやイタリアではファシズムが台頭します。これが第二次世界大戦につながるので、大戦は世界恐慌が引き金になったと捉えられます。
第二次世界大戦
世界恐慌により、欧米は持てる国と持たざる国に二分されてしまいました。
![](https://hayamamitsuru.com/wp-content/uploads/2023/10/picture_pc_8fd927aebcb7eb907c27b855ee1d5a62-655x438.webp)
イギリスのように植民地がある「持てる国」は、自国と植民地との間で貿易を行い、経済の立て直しを図ります。一方で、植民地のない「持たざる国」は貿易から排除されてしまいました。そこでヒトラーが率いるナチスは海外へ侵略を始めます。
![](https://hayamamitsuru.com/wp-content/uploads/2023/10/picture_pc_de805d40f7fb5533c50701eb5b576956-1-337x438.webp)
こうして各国の対立が深まり、第二次世界大戦が勃発しました。ファシズムのドイツ、イタリア、日本は枢軸国として領土拡大を進め、フランスやイギリスらがそれに対抗します。ヨーロッパでの戦争なのでアメリカは当初は介入しない立場でしたが、当時のイギリス首相チャーチルから支援を求められたこともあり、武器貸与を始めます。
![](https://hayamamitsuru.com/wp-content/uploads/2023/10/picture_pc_7dd8eed8eb8fd7d438c50aa3716f4e36-712x438.webp)
1941年に日本が真珠湾攻撃を行うと、アメリカが大戦に参加するきっかけとなりました。ドイツとイタリアからも宣戦布告を受けたため、アメリカもヨーロッパの戦線に連合国として参加します。
1945年にはドイツが無条件降伏に至り、日本もポツダム宣言を受け入れて無条件降伏したため、第二次世界大戦は終結します。第一次世界大戦に続き、アメリカは二度の大戦で戦勝国となりました。
それだけでなく、大戦中の軍事需要の拡大によってアメリカの景気は回復します。雇用が増え、完全雇用も実現することができました。これが基盤となり、アメリカは戦後に大きな経済発展を遂げます。
冷戦から現代へ
枢軸国を倒した後、アメリカは社会主義国との対立を深めます。ソビエト連邦との対立、すなわち冷戦です。
![](https://hayamamitsuru.com/wp-content/uploads/2023/10/picture_pc_61408a8c66442f2a0b5f2da021b0c055-702x438.webp)
1945年にアメリカが核実験に成功して唯一の核保有国となったのですが、その後にソ連も核実験に成功します。ここからより強い核爆弾を開発する競争がスタートし、最盛期には世界を50回滅ぼせると言われるほどになってしまいました。
冷戦ではアメリカとソ連が直接戦うことはありませんでしたが、ベトナムや朝鮮半島などで代理戦争という形で戦争が起きました。いずれも資本主義陣営と社会主義陣営の戦いで、アメリカとソ連の戦いという構図で見ることができます。
朝鮮戦争は韓国と北朝鮮の間で起こった戦争で、北朝鮮は中国やソ連から支援を受ける社会主義陣営、韓国は国連軍から支援を受ける資本主義陣営です。この戦争は休戦状態ですが、まだ終結はしていません。2018年に南北首脳会議が実現し、2018年中の終戦を目指す「板門店宣言」が発表されましたが、実現には至りませんでした。
アメリカのコインの歴史ならスミソニアン博物館へ
![](https://hayamamitsuru.com/wp-content/uploads/2023/10/picture_pc_c0971d72565b2c7ab31026bcac77fc6e-656x438.webp)
スミソニアン博物館はワシントンD.C.を中心とする博物館群で、コインのコレクションも充実しています。アメリカのコインの歴史を知りたい方や、色々なコインを一気に見てみたい方には、一度訪れることを強くおすすめします。
上述した「モルガン・ダラー」のモルガンが設計したコインも展示されています。国のコレクションなのでおそらく売りに出されることは無いと思いますが、コインのコレクションの参考になると思います。
まとめ
アメリカのコインと歴史について見てきました。国境を争う戦争が少ないためか、ヨーロッパの大陸の国々に比べると非常にシンプルな歴史です。
それにしても、15世紀末にヨーロッパ人が発見してから21世紀までに世界を率いる強国になってしまうとは、誰が予想したでしょうか。
冷戦など解決していない問題もありますが、光と闇の歴史のすべてがコインに詰め込まれていると言っても過言ではありません。強国の歴史のロマンを抱くアメリカのコインも、コレクションに加えてみてはいかがでしょうか。
みなさんにアンティークコインで幸あれ!