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2024.01.19

コイン解説&写真

チェコスロバキア

存在しない国のコイン『チェコスロバキア 聖ヴァーツラフの5ダカット金貨 ①』

みなさんごきげんよう、アンティークコイン投資家の葉山満です。

今回は現在存在しない国、チェコスロバキアの『1933年 聖ヴァーツラフの5ダカット金貨』についてお伝えします。

ダカット金貨はドイツ(神聖ローマ帝国)を中心にヨーロッパの大陸の国々で使われていたコインで、大型の金貨のため現代のコレクターや投資家にも人気があります。今回はそんなダカット金貨の中でも珍しい、チェコスロバキアで発行されていた聖ヴァーツラフの5ダカット金貨を取り上げていきましょう。

現在はチェコとスロバキアに分かれて独立していますが、1918年から1992年まではチェコスロバキアという1つの国でした。聖ヴァーツラフの5ダカット金貨は、そのような分裂前のコインです。

今は存在しない国のコインということもあり、コレクターや投資家からの人気も高いです。この記事では聖ヴァーツラフの5ダカット金貨について解説し、知っておきたいチェコスロバキアの歴史も解説していきます。

チェコスロバキア 聖ヴァーツラフの5ダカット金貨の基本情報

チェコスロバキアで使われていた聖ヴァーツラフの5ダカット金貨について、基本情報を整理しておきましょう。

・国:チェコスロバキア
・発行年:1933年
・発行枚数:不明
・素材:金
・直径:約37mm
・重量:約17g
・表面:聖ヴァーツラフ(聖ウェンセスラス)の肖像
・裏面:チェコスロバキアの国章
・参考取引価格:200万円前後

直径が4センチ近い大型の金貨で、表面には馬に乗った聖ヴァーツラフが描かれているのが特徴です。ほとんど同じデザインで10ダカット金貨もあります。

聖ヴァーツラフとは?

コインの表面に描かれている聖ヴァーツラフとは何者なのかを解説していきます。

ヴァーツラフ1世は、921年から935年まで在位したボヘミア公です(ボヘミアは現在のチェコのこと)。ヴァ―ツラフ1世はチェコの守護聖人である聖ウェンセスラスとしても知られています。(画像:ヴァ―ツラフ1世像)

ヴァーツラフ1世が政治の実権を握った頃、ボヘミアはキリスト教を受け入れ、これからキリスト教的な社会に整えていくところでした。ヴァーツラフ1世は聖ヴィート大聖堂の始まりとなる聖堂を建てたり、ドイツから宣教師を招いたりするなどキリスト教化を進めていきました。

模範的なキリスト教的指導者であったヴァーツラフ1世は、亡くなった後に聖ヴィート大聖堂に葬られますが、早くから英雄化されて人々の信仰を集めるようになりました。中世から伝わる伝説によると、ヴァーツラフ1世は民族に危機が訪れる度によみがえり、騎士たちとともに敵と戦って民族を守ってきたのだそうです。19世紀以降、民族の独立が叫ばれるようになると、ヴァーツラフ1世を題材とした小説や詩が盛んに作られました。

このような伝説もあり、ヴァーツラフ1世はチェコの守護聖人である聖ウェンセスラスとしても称えられています。

次回はチェコスロバキアの歴史についてお伝えします。

みなさんにアンティークコインで幸あれ!