2024.01.31
古代
コイン解説&写真
世界初の金属貨幣『古代リディア 1/3スターテル エレクトラム貨②』
みなさんごきげんよう、アンティークコイン投資家の葉山満です。
前回に引き続き、古代コインの中でも特に押さえておきたい「世界で最初の金属貨幣、古代リディア 1/3スターテル エレクトラム貨」について今回は誕生した理由など歴史的背景を解説していきます。
リディア王国で金属貨幣が誕生した理由
リディア王国で金属貨幣が誕生した背景には、砂金が豊富に採れる土地であったことと、交易の要衝であったことが挙げられます。
リディア王国の首都サルディスには砂金が豊富なパクトロス川が流れていました。商取引で使える金という資源が豊富だったのです。
また、リディア王国はエーゲ海、メソポタミア、ペルシアとの交易の要衝でもありました。そのため、商取引をスムーズに行うための貨幣が普及したのです。
エレクトラム貨幣が廃止された背景
紀元前6世紀の中頃、アリュアッテス2世の息子であるクロイソスによる通貨改革により、エレクトラム貨幣は廃止されることとなりました。その理由として、金銀合金であるため、金と銀それぞれの正確な含有量を測りにくいことが挙げられます。
実際、エレクトラム貨は発行された時期によって金の含有量が異なります。最初期は金の割合が55.5%程度でしたが、その後は40%~46%程度になっています。同じ額面のエレクトラム貨でも、金が多いものと少ないものとがある、というイメージです。これだと貴金属としての価値という裏付けが揺らいでいるため、通貨を信用することができなくなってしまいます。
クロイソスはエレクトラム貨に代わり、金貨と銀貨による通貨制度を導入しました。この制度は瞬く間にギリシャやローマに広がりました。ギリシャではドラクマ銀貨が、ローマではデナリウス銀貨などが発行されました。
(画像左:ドラクマ銀貨 右:デナリウス銀貨)
廃止されたとはいえ、人類の金属貨幣の起源はエレクトラム貨です。
エレクトラム貨には格別なロマンを見出すことができるでしょう。
リディア王国についてさらに詳しくお伝えしている記事もご覧ください。
まとめ
人類が使った最初の金属貨幣である、リディア王国のエレクトラム貨(スターテル金貨)について解説してきました。人気が高まっている古代コインの中でも、人類初の金属貨幣という歴史的に大きな意味のあるコインのため、欲しいと思っているアンティークコインのコレクターは大勢います。そのため、高額で取引されるエレクトラム貨もあります。
2000年以上も昔に作られたスターテル金貨を手元に置くことで、人類の壮大な歴史のロマンを身近に感じることができるでしょう。ぜひコレクションに加えることを検討していただければと思います。
みなさんにアンティークコインで幸あれ!