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2023.11.29

コイン解説&写真

ハンガリー

成功への第一歩!アンティークコイン投資・国の知識を深めよう「ハンガリー編③」

みなさんごきげんよう、アンティークコイン投資家の葉山満です。

引き続きはハンガリーの歴史とコインについてお伝えしていきます。

第一次世界大戦と独立

形式的な独立は果たしたものの、実質的にはオーストリア=ハプスブルク家からの支配を受けていました。

第一次世界大戦でオーストリアが敗北すると、1919年に連合国(イギリスやアメリカなど)との間でサン=ジェルマン条約が交わされます。これには、ハンガリー、チェコスロヴァキア、ポーランド、セルブ=クロアート=スロヴェーン(ユーゴスラビア)の独立を承認する内容が含まれていました。オーストリアは約4分の3の領土を失うことになりますが、ハンガリーは王国として独立することができました。ただし、ハンガリーも多くの領土を失い、国民を国外に取り残すことになってしまいました。
(画像:ホルティ・ミクローシュ)

しかし「国王なき王国」と呼ばれるように、ハンガリーは「ハンガリー王国」なのに国王がいませんでした。オーストリア=ハンガリー二重帝国の海軍提督でありマジャール人のホルテイ・ミクローシュが摂政となって政治を行いましたが、軍の最高司令官であり、かつ議会の解散権や首相の任命権も持つという絶対的な権限が1人に集中してしまいました。ファシズムとは違いますが広義での独裁体制であり、「権威主義体制」と呼ばれています。

第二次世界大戦

第二次世界大戦は枢軸国(ドイツ・イタリア・日本)と連合国(イギリスやアメリカなど)の戦争と理解するのが一般的かと思いますが、ハンガリー王国も枢軸国に加わって参戦しています。ハンガリー国内でも、ドイツやポーランドと同様に、ユダヤ人が捕らえられてアウシュビッツなどの強制収容所に送られました。(画像:オーストリア=ハンガリー二重帝国軍)

参戦の背景には、ドイツにおけるナチスの台頭により領土回復のチャンスを狙ったことが挙げられます。実際、ドイツの軍事力に頼って北部ハンガリーの一部とトランシルバニアを回復することができました。

ハンガリー軍は最初はドイツ軍の一部として攻撃に加わっていましたが、ドイツの敗色が濃くなってくると、ホルテイは単独講和に乗り出します。しかし1944年にドイツの支援を受けた矢十字党がクーデターを起こし、ホルテイは摂政を退位して亡命します。首相となった矢十字党のサーラシ・フェレンツはドイツに協力し、連合国軍との戦争を継続しました。

しかし、ソ連軍がナチスに占領されたハンガリーを攻め、1945年には首都ブダペストも陥落しました。ドイツの降伏によって戦争は集結しますが、ソ連軍とドイツ軍の戦いで街は壊滅的に破壊されてしまいました。

ホルテイ摂政の5ペンゴ銀貨

1927年~1946年まで、ハンガリーでは「ペンゴ」という通貨が使用されていました。ホルテイ摂政の肖像が刻まれた5ペンゴ銀貨も、現存しています。

「銀貨」と呼ばれてはいるものの、戦時中で物資が無かったのでアルミニウムを使用して作られています。

第二次世界大戦後、急激なハイパーインフレに見舞われたため、1フォリント=4×10の29乗ペンゴ(40穣ペンゴ)と交換されました。

ハンガリーの社会主義化

ソ連は、ハンガリーを解放したソ連軍をそのまま駐屯させ、ハンガリーの政治に大きな影響を持ちました。アメリカが提示したヨーロッパの復興支援計画である「マーシャル=プラン」の受け入れを断念させます。この計画の背景には、アメリカが共産主義の浸透を防ぐ目的があったからです。代わりに、ソ連と東欧諸国の結束を高めるため、マーシャル=プランに対抗して作られた経済相互援助会議(COMECON)に参加させました。

1949年にはハンガリー人民共和国が成立し、ソ連にならった共産主義の国になっていきました。

1956年にはスターリン批判を背景にハンガリー動乱が起こりますが、ソ連の直接介入によって鎮圧されます。ナジ・イムレ首相は秘密裡に処刑され、改革は実現しませんでした。

ハンガリーの民主化

ソ連のペレストロイカなどをきっかけに、東欧諸国では一気に民主化が進んでいきます。複数政党の承認や自由選挙が行われ、ハンガリーは民主化に踏み切りました。

ベルリンの壁が崩壊した1989年、国会議事堂前のバルコニーからハンガリー共和国の誕生が宣言されました。ハンガリーの民主化は、政権が自ら変わることで共産主義から民主主義に転換しており、流血なく民主化が行われました。

ハンガリーだけではありませんが、東欧諸国は1989年と最近まで社会主義国家でした。第二次世界大戦自体は1939年~1945年までですが、その影響や負債の方が大きく、現代まで大きな爪痕を残しています。

ハンガリーの現在の通貨

現在、ハンガリーはEUの一員ですが、通貨はユーロではありません。ハンガリーでは「フォリント」という通貨が使われています。

ユーロに参加するには物価安定性や健全な財政などの条件があるのですが、ハンガリーにとっては厳しい内容で、今後しばらくはクリアできないと言われています。よって、EU加盟国ではあるものの、自国のフォリントを使用しています。(画像:フォリント・コイン)

フォリント・コインには、ハンガリーの王族や政治家の肖像が刻まれています。旅行などで手に入れた際には、ぜひ手に取って近くで見てみてくださいね。

まとめ

ハンガリーのコインと歴史を解説してきました。ハンガリーも他の東欧諸国と同様に、強国からの支配を受け続けてきた国で、ようやく民主化を遂げたところです。

日本人にとっては「イメージがない国」ではあるのですが、ヨーロッパ史では重要な国ですし、観光に訪れた方の満足度も高く、知らないと損をする国と言えるかもしれません。値上がりしているコインもあるので、この機会にハンガリーのコインにも目を向けてみてはいかがでしょうか。

みなさんにアンティークコインで幸あれ!